DEQX PDC-2.6P
Digital Calibrated Processor
DEQX Calibration PDC-2.6P を導入しました。ヘッドフォンとは全く無関係ですので興味を持ってくれる方は非常に少ないと思いますが、日本では余り知られていない製品なのでPDC-2.6Pの紹介をしてみたいと思います。先ず、PDC-2.6Pで何が出来るのかといいますと、簡単に言ってしまえばルームアコースティックを考慮した補正機能を持ち、プリアンプとしても使用出来るデジタルチャンデバです(シングルワイヤスピーカーでも校正機能は使えます)。一般に使われているチャンデバと違う点は、FIRフィルタ(位相回転の無いフィルタ係数)を持っている事と、スロープの最大値が-300dB/octと非常に優秀な所にあります。そして、Calibration
kitによる各種測定を行い、フィードフォワード回路によってシステムのCalibration=「校正」が出来る、というところが通常のチャンデバと根本的に異なる点です。デジタルチャンデバの部分ではAccuphase
DF-45、校正部分に関してはAccuphase DG-38と似ていると言えるかも知れませんが、DF-45ではFIRフィルタが使えませんし、DG-38がピンクノイズを出して振幅f特平坦を狙う簡易的なイコライザなのに対して、PDC-2.6Pの校正はインパルス応答で得た情報を元に時間軸から補正を行う本格的なものです。スピーカー直前で位相、群遅延、タイムアライメント、振幅f特等の修正を行っておき、最後にリスニングポイントで振幅f特修正を実行します。デジタルチャンデバでありながら、プリアンプとして使用出来るようアナログ出力段に6連制御のマスターボリュームを持っていますから、プリアンプとしても使用出来きます。その他、デジタル入力以外にアナログ入力(A/Dコンバータ
24bit192KHz)も標準搭載していますから、オプションボード等を使用する事無く、次世代オーディオにも使用出来ます。 高校生の頃には数百円で購入したコンデンサカプセルと、無線と実験で知ったSpectraPLUSのデモモード(インストール後一週間の試用が無料、Windows95時代)でFFTを取って喜んでいました。そしてPraxisを購入してから3年と経っていませんが、インパルス応答からデジタル段で畳み込みが出来てしまう製品が、手の届く所まで落ちてきた事に感動しています。※技術系は素人ですので間違いは指摘をお願いします。
Six digital outputs option - AES/EBU (XLR), S/PDIF (RCA phono)
DCX2496ではありませんが、アナログ出力の出来が悪ければその前処理の品質は何の意味もありませんから、保険を兼ねてオプションのデジタルアウトボードも組み込んで貰っています。3系統のデジタルアウトがあり、3wayなら、3台のDACを外付けする事で好みのD/Aが使用可能になります(この場合、デジタルボリュームでbit落ちしないよう
3way×stereoで6連のアナログATTが必要)。PDC2.6Pのアナログ出力で現在運用中ですが、今の所、特にD/Aの品質に不満を感じていませんのでデジタル出力ボード(498US$)は不要だったかもしれません。
@ PDC2.6PにCalibration kitとPCを接続
A スピーカー直前で擬似無響室測定(swept sinewave)
B スピーカー校正及び実測ベリファイ
C リスニングポジションでのルームアコースティック補正
D PDC2.6PからCalibration kitを外す
Bの状態でスピーカー直前での位相、群遅延、振幅f特平坦が実現されています。更にここからリスニングポジションにマイクを移し、パライコを用いてルームアコースティックの補正も行います。リスニングポジションでf特フラットネスを狙った場合に関しては、Accuphase
DG-28での説明にもあるように高域がハイ上がりで不自然さを感じますので、最終的には聴感によるf特修正が必要になります。ここで、加銅先生推奨のf特カーブ(スピーカー直前f特フラットネスなものを、状態の良いリスニングルームに入れた時の、リスニングポイントでのf特)が現実味を帯びてきますが、単なるパライコによる強制ルームアコースティック補正はやはり違和感が残りました。結局私の場合、スピーカー直前f特平坦、ルームアコースティックの補正は殆ど無しの状態に落ち着ついています。
ここからは先は聴感上の感想になりますが、過去に用いたチャンネルデバイダはDCX2496,MD1100,TA-D900だけですので、経験不足なのと、購入したばかりで舞い上がっていますので適当にバイアスを掛けた上で読んで下さい。先ず、遮断特性の高さからTC120TD5のようにfsの高いツィーターでも2KHzといった帯域から「楽々」繋げる事が出来ます。FIRフィルタで美味しい帯域のみ使えるという事は、他のユニットの帯域に被らず、30℃・45℃といった指向特性のよい所だけ使う事が出来るという事です。指向性の良い帯域のみ使えるという事は、サービスエリアが広くなる事と同義でしょう。実際、狭い部屋でありながら、余りスピーカーの存在を意識しないで済む音が出ています。フラッシュROMに3種類のフィルタを保存出来るので、キャリブレーションを有効にした場合と単に指定の周波数でチャンデバとして使用した場合で比較視聴を行いましたが、キャリブレーションを有効にした場合は低音の締まり具合が全く違います。群遅延・位相特性の改善が有効に効いているのでしょう。バスレフでありながら、大容量密閉型のような締まりがあり、それでいて低域端が無理なく伸ばせているようです。低音の出ないシステムを通常売られているイコライザでバスブーストさせた時の音とは全く別物の鳴り方です。SACDのような録音での最低域情報の綺麗なものは、低い帯域まで違和感がなく、ホールトーンが綺麗に出ます。
私の性格として、良い所ばかりを書く趣味ではありませんので、欠点も少々。デジタルとはいえ、ボリュームがボタン式というのが戴けません。使いにくいのでパルス検出式の回転ノブに変更して欲しいです。ボリューム開度にあわせてLEDの色が変わっていくのですが、ランダムに色が変わっていくのも問題です。ボリューム開度に比例して青から赤に変わっていくとか、もっと視覚的に判りやすいユーザインターフェースにして欲しかったです。内部画像と機能を見れば、適正価格と呼ぶ人は多いと思いますが、この外見の安っぽさも問題です。50万弱の製品には絶対に見えません。せめてフロントパネルに5tのアルミ位は採用して欲しいですね。オーディオ機器の評価はブラインド視聴でのみ語られるべきで、ブラインド以外の評価方法は評価とは呼ばないという話もありますが、これは経験的に十分頷ける話です。しかしそれは、世の中にはブランドや外見によりバイアスの掛かる人が大勢いる事の裏返しでしょう。私は性格が捻くれていますから、ブラインドで使わないのなら、外見やブランドイメージは非常に重要かつ、影響力の大きい項目なんだとしか理解出来ません。後は要望ですが、どうせならマイク入力を2系統にして、日本オーディオさんのMFB-2000ではありませんが、音圧式で良いのでMFBオプションがあれば機能的には完璧だと思います。
最後になりましたが、DEQX社からの購入にあたり、ご助言、ご協力頂いたS&K Audio komori様 本当にありがとう御座いました。この場を借りて再度お礼申し上げます。現在、S&K Audio殿ではPDC2.6Pの取り扱いはしていないそうですが、PDC2.6Pの詳細がS&K AudioのWebページにpdfで上がっています。使用方法など詳細を知りたい方はご覧になって下さい。直接PDC2.6Pとは関係ありませんが、Borbely's FET AMPのスピーカーコネクタはSTAX製を採用しているようです。ドイツには大御所WBTがあるのに、STAXのコネクタを採用している所に拘りを感じます。ドイツでのSTAXはAccuphase並みの評価を貰っているらしいですから、案外ドイツでは採用が多いのかも知れません。
LINK
DEQX
http://www.deqx.com/
PDC-2.6P
http://www.deqx.com/PDC26P-Preamp.html
S&K Audio
http://homepage3.nifty.com/sk-audio/
S&K Audio DEQX PDC-2.6P紹介記事
http://homepage3.nifty.com/sk-audio/DEQX-TOP.htm